2011年4月30日土曜日

原油の値段が上がれば石油供給量は増えるのか?


上のグラフは、原油の値段と油田開発の投資額を表したものです。このグラフが示しているように、両者の間には明確な関連性があると言えます。原油の値段と油田開発の投資額は共に連動しているのです。

エコノミストの中には、「原油の値段が上がれば、油田開発のための投資額も増え、新たな油田が開発されるため石油の供給量は伸び、価格は調整される」と考えている人も多いようです。

このグラフが示しているように、確かに、油田開発のための投資額が増えることは間違いなさそうです。しかし、問題は、「石油の供給量も伸びる」という部分です。

Creative Policy Supportが繰り返し述べているように、我々の暮らす地球は「有限」です。「自然にも資源にも限りがある」のです。そして、石油は典型的な「枯渇性資源」です。「枯渇性資源」は、技術的・物理的制約から、必ず生産ピークが訪れ、その後生産が減退していくことが知られています。

この「宿命」からは、どうあがいても逃れることはできません。そのことを示唆しているのが、以下のグラフです。

この図は、アメリカのブッシュ政権でエネルギー政策のアドバイザーも務めたシモンズ(Matthew R. Simmons)が行ったプレゼンテーションスライドをまとめ直したものです。

グラフが示しているように、原油価格が上がれば、原油生産の上流部門への投資額も連動して増えています。2004年から2008年までの平均支出は、1992年から1999年までの平均支出に比べ約4.5倍になっています。

しかし、原油の生産量は、2004年以降、ほとんど横ばい状態です。つまり、既存の油田の減退分を補うのがやっと、ということなのです。

これが、「枯渇性資源」の抱える「宿命」です。「石油ピーク論」が主張していることは、こうしたデータからも裏付けられていると言えそうです。

「枯渇性資源」の「宿命」は、「マネー」も「技術」も解決してはくれません。求められているのは、こうした現実を受け入れた上での、Creative Policyなのではないでしょうか。