2011年4月29日金曜日

乖離する3つの成長曲線


この図は、「石油ピーク論」の祖とも言えるハバート(M. King Hubbert)によって、1976年の論文で掲載されたものです。

この図が示すように、この世の中の成長曲線は3つのタイプに集約されます。

第1のタイプは、「指数関数的無限成長」(unlimited exponential growth)であり、マネーや経済指標であるGDPの世界です。

第2のタイプは、再生可能資源(renewable resource)であり、ある一定ラインまでは成長するけども、その限界以上は成長することがないという世界です。たとえば、川の浄化作用や森林資源などが該当します。

第3のタイプは、枯渇性資源(exhaustible resource)であり、あるところまでは成長しますが、ピークを迎えた後に減退していくという世界です。これには、再生不可能な資源、すなわち、石炭、石油といった化石燃料や、ウラン、リチウムなどの鉱物資源が該当します。

ハバートが訴えたかったのは、「はじめのうちは、この3つの成長曲線は同調しているかのように見えるが、やがて乖離をはじめ、原理的に考えてこの3つの成長曲線がいつまでも共存することはできないだろう」ということです。

つまり、「地球は有限」、「自然にも資源にも限りがある」、「その中で経済だけが無限成長していくという世界は矛盾している」ということです。

私たちは今、1976年に提示されたハバートによる問題提起に対して、どのような回答を示すことができるのか、その真価が問われているのだと言えるでしょう。